多くの中学生にとって、受験は初めての経験です。そのため、高校の受験勉強をいつから始めれば志望校に合格できるのか、イメージができない子どもがほとんどでしょう。
しかし、なかなか受験勉強のスタートを切れず、本番までに必要な勉強や準備が間に合わなかった場合、行きたい高校を諦めなければならない可能性が大きくなります。「あの時もっと勉強しておけばよかった」と後悔しないためには、早めの対策が重要です。
本記事では、高校受験の勉強開始時期や、勉強のスケジュール作りの方法から、学年別の勉強の進め方、受験生の親の役割について解説します。
高校受験の勉強開始時期はいつがいい?
本格的な受験勉強は、中学3年生の部活引退後に始める子どもが多いとされていますが、学力や、目指している高校によっては中3からの勉強では手遅れのケースもあります。
入試対策を効率的に進め、自分にとって有利な状態で高校入試に臨むためには、できる限り早めに始めることをおすすめします。
理想的な勉強開始時期
高校受験勉強はいつから間に合うのかというと、早ければ早い方が望ましいです。
理由は以下の3つです。
- 学力の基礎が身につく
- 定期テストの点数や内申点を高く維持できる
- 気持ちに余裕を持って受験に臨める
高校受験の出題範囲は中学3年間で勉強した内容で、中1や中2で習ったことも多く出題されます。中1の頃から受験を意識しながら学習内容の理解を深めておくと、学力の基礎が身につき、苦手科目を作りにくくなります。
また、高校受験には内申点が影響します。内申点を合否判定に使用する度合は高校ごとに異なりますが、早いうちから受験を意識して勉強することで、定期テストで高得点を獲得し、高い内申点を維持しやすくなるでしょう。
さらに、「周りが受験勉強をしているのに自分はまだ始めていない」という状況は、焦る気持ちを助長してしまいます。焦りは勉強の効率を下げやすく、勉強時間に見合った成果が出にくくなると言われています。
気持ちに余裕を持ってスムーズに受験勉強を進めるため、受験に有利な状態で本番に臨むためには、いち早く受験を意識した勉強を始めることがポイントです。
受験までに必要な学習時間
定期テストの点数が取れない場合や、苦手科目がある場合、受験までに基礎に立ち戻って学び直す時間が必要です。苦手科目がなく、ある程度学力がある子どもでも、自分の実力よりも偏差値が高い高校を受験したい場合は、学習時間を多く確保する必要があるでしょう。
また、難関校受験では、学校の授業では習わないレベルの難しい問題が出ることがあり、応用力を身に付けるために時間を要します。
このように、高校受験までにどれくらい勉強したかは、学力や志望校によって大きく変わります。
今の学力や志望校のレベルに応じた勉強時間を考えながら、受験までの勉強のスケジュール作りを行いましょう。
受験までに必要な勉強時間について、より詳しく知りたい方は「高校受験に必要な勉強時間と偏差値を上げるために確保したい勉強時間を解説」を参考にしてください。
高校受験の勉強のスケジュール作り
高校受験の勉強のスケジュール作りを始める際は、まず自分が受験する年度の志望校の入試日程を調べ、それまでにどの程度の学力を付ければ合格できるのかを考えましょう。さらに、自分の学力や、教科ごとにかかる勉強時間を勉強計画に反映させることが、受験までに過不足なく勉強を進める手助けになります。
2024年度の全日制高校受験の入試日程は以下の通りです。
入試種別 | 入試日 | |
---|---|---|
群馬県 | 県立高等学校入学者選抜 | 2月21日(水),22日(木) |
私立高校(推薦入試) | 1月上旬(1/6~13) | |
私立高校(一般入試) | 1月下旬(1/27~28) | |
栃木県 | 県立高等学校入学者選抜 | 3月6日(水) |
県立高等学校特色選抜 | 2月7日(水),8日(木) | |
私立高校 (推薦・第1回一般入試) | 1月上旬(1/6~11) | |
私立高校 (第2回・第3回一般入試) | 1月中旬~下旬(1/13~31) | |
埼玉県 | 県立高等学校入学者選抜 | 2月21日(水) |
私立高校 | 1月下旬~2月上旬(1/22~2/7) |
※私立高校の入試日は目安。推薦入試を実施していない高校も増えています。受験をする年度に志望校がどのような入試制度をとっているか確認が必要です。
自分の学力を把握しスケジュールを作る
現在の学力がどの程度かによって受験勉強に費やす時間は変わってきます。そのため、まずやることは自分の学力の把握です。
中1からの授業内容が身に付いている場合、基礎の確認や復習を早いうちに終えて、過去問や応用問題を使った演習に重点を置いたスケジュールを作成できます。
しかし、理解できていない内容や苦手分野が多ければ、実践演習は受験の直前に設定し、学び直しや苦手克服を中心とした勉強計画が必要でしょう。
高校受験に向けた効果的な勉強スケジュールの例
時期 | 勉強内容 |
---|---|
中1 | 基礎知識の定着 定期テスト対策 |
中2 | 基礎知識の確認と苦手教科をなくす 定期テスト対策 |
中2の冬から中3の春休みまで | 中1・中2の総復習 |
中3の夏休みまで | 英語・数学・国語の基礎学力を深め、 分からない問題をなくす 苦手な部分を中心に問題集を解く |
中3の夏休み明けから | 理科・社会の暗記 全教科の過去問を用いた演習 |
自分の学力に合わせて、志望校合格までにクリアする課題を明確にした勉強の進め方を考えることが大切です。
教科ごとに学力アップにかかる時間を考慮する
学力だけでなく、教科ごとに必要な勉強時間も違います。
英語や数学、国語などの積み重ね教科は、学力アップに時間がかかります。基礎の理解を前提に、より難易度の高い学習に進むため、分からない問題が出てきた場合は、前の単元の学習内容を振り返って学ぶ必要があるからです。
一方、理科や社会は暗記が多い科目です。集中して取り組めば、積み重ね教科よりも知識を定着させやすく、短期間での点数アップが見込めます。
勉強のスケジュールを作る時は、学力とともに、教科ごとの特徴を踏まえた時間配分を意識してみましょう。
【学年別】高校受験の勉強の進め方
ここからは学年別の高校受験に向けた勉強法や受験勉強の手順を紹介します。
中学1年生でやるべき受験勉強
中学1年生でやるべき勉強は、以下の2つです。
- 基礎学力の強化と定期テスト対策
- 数学と英語の基礎固め
これらを意識することで、受験勉強が格段に進めやすくなります。
基礎学力と定期テスト対策
中1で学習する内容は、中2・中3で習う勉強の土台です。中1の勉強をおろそかにしている場合、学年が上がるにつれて分からない問題が増えてしまいます。授業をしっかりと聞くこと、分からないことを放置せずにその都度復習することで、基礎学力を育てましょう。
また、定期テスト対策は最も効果的な受験対策と言われるほど、効率的に受験勉強を進める手助けになります。
高校受験では中学校での学習内容が出題されるため、定期テストごとに習った内容の理解を積み重ねて実力を身に付けることが、受験に有利に働くのです。さらに、定期テストに向けての自宅学習を習慣化できれば、限られた時間で期限までに勉強スケジュールをこなしていく力が身につきます。
これらは内申点アップにもつながるため、中1から力を入れておくことが重要です。
数学・英語の基礎固め
数学・英語は積み重ね教科と言われ、前に学習したことをもとに、次の学習を進めていくものです。
例えば、数学は、中1で学習する「正負の数」「文字式」「方程式」を身に付けたうえで、中2では「一次関数」を、中3では「二次関数」を学習します。英語は、中1で習った単語や基本的な文法をもとに、中2ではより複雑な文法や表現を学びます。
このように、数学や英語は、中1のうちに基礎を身に付けておかなければ中2・中3の勉強でつまずいてしまい、学び直しに多くの時間がかかってしまいます。
スムーズに受験勉強を進めていくために、1年生のうちから授業内容を確実に理解できるよう、基礎固めに力を入れておきましょう。
中学2年生でやるべき受験勉強
中学2年生でやるべきことは3つです。
- 学習内容の完全理解と苦手の克服
- 志望校探し
- 勉強と部活の両立
3年生になってからの本格的な受験勉強がスムーズに行える準備を進めましょう。
学習内容の完全理解と苦手の克服
中2で習う内容は、受験で出題されることが多いうえに、中1に比べて難易度も上がります。そのため、毎日の勉強の中で分からないところをなくし、完全に理解しておくことが、受験本番での得点アップにつながります。
中1に引き続き定期テスト対策に力を入れることで、自分の苦手な分野も明らかになります。それをひとつずつ克服できるように学習を進めていけば、学習内容の完全理解につながるでしょう。飛躍的に成績をアップさせ、受験での総合点を上乗せすることが可能です。
数学や英語などの積み重ね教科でつまずいている場合、放置すると苦手克服が困難になってしまいます。これらの教科は受験直前になって苦手を克服しようと勉強を始めても、成績を上げるまでに時間がかかり、途中で挫折してしまうケースが少なくないからです。
この時点で苦手の克服が難しいと感じる場合は、学習塾を検討するのもいいでしょう。集団指導・個別指導の塾や、オンライン家庭教師など、子どもに合った学習方法に悩んでいる場合は「塾なしで高校受験に合格はできるのか?メリット・デメリットを知って判断しよう」をご覧ください。
志望校探し
中2になったら、学校説明会などに参加して、志望校の候補を絞りましょう。偏差値や学校のサイトを見るだけでなく、実際に足を運んでみたり、高校に進学した先輩に話を聞いてみたりすることで、志望校が定まりやすくなります。志望校のレベルが分かれば、勉強のスケジュールも立てやすくなります。
「どうしてもこの高校に行きたい」という気持ちは、最も受験勉強へのやる気を引き出しやすいスイッチです。目標が定まり、高校生活のイメージができることで、やる気を維持しながら勉強を進めることができます。
勉強と部活の両立
中2は部活動の中心として活動する学年です。大会に向けての練習などで土日も部活で忙しくなる子どもが多く、平日は学校から帰って寝るまでの時間が4時間程度しかないため、疲れて勉強に身が入らない日も少なくないでしょう。しかし、勉強をおろそかにしていると、中3になって焦ることになりかねません。
- 朝起きてすぐ・休み時間などの隙間時間を有効活用する
- 部活が休みになる定期テスト前1週間に集中して勉強時間を確保する
2年生の間は、このように自分に合った日程や時間を考えて、部活と勉強を両立できる工夫を取り入れることが大切です。
中学3年生でやるべき受験勉強
中学3年生は、受験に向けて本格的に勉強に力を入れる時期です。
- 中1・中2の総復習
- 中3全範囲の先取り
- 過去問などを使った実践演習
3年生になる前の春休みから、これらの勉強を計画的に進めていきましょう。
中学1年生・中学2年生の総復習
中3に上がる前の春休み、遅くとも夏休み前には、2年間の学習内容の理解度を確認しておきましょう。基礎がおろそかになっているところは学び直し、中3の勉強でつまずくことがないようにしておくこと大切です。
中3の春は部活動最後の大会に加え、委員会や生徒会活動で最高学年として下級生の指導をすべき機会が増えて忙しくなります。この時期に修学旅行に行く中学校もあり、勉強に充てる時間を作りにくいことがあります。
中1・中2の間に基礎固めを確実にしておき、3年生の春前に総復習を終えられれば、余裕を持ってその後の受験勉強に臨めるでしょう。
中3全範囲の先取り
学習内容を理解して定着させるためには、一度習ったことを復習して確認する時間が必要です。高校受験には、中3で習った範囲の問題も出題されます。直前になって知識の確認ができないまま受験に向かうことのないように、中3の学習内容を先取りして学んでおくことをオススメします。
さらに、中3全範囲の内容の理解を深めておくことは、1学期の成績と内申点のアップにも効果的です。中3の成績は多くの地域で内申点に反映されるため、先取り学習によって1学期に定期テストで高得点を取ることが、受験に有利に働くでしょう。
実践演習
総復習や先取り学習を終えた後は、過去問などを使用して志望校の入試問題の傾向をつかみ、受験形式での実践演習を始めましょう。
受験では、制限時間内に問題を解くことが求められるため、実践演習によって時間配分に慣れておく必要があります。
模試は、受験者数の増える夏以降に、複数回受けるのがおすすめです。模試の答案は見直しをして、なぜ間違えたのかを必ず振り返りましょう。理解が足りない場合は基礎に立ち戻って復習し、同じ系統の問題が出題された時に解けるようにしておくことが大切です。
過去問の効果的な使い方
志望校の過去問は、冬休みに入る前、できれば秋頃に使い始めるといいでしょう。
高校入試では、公立高校・私立高校ともに、毎年の問題傾向が似ていることが多いです。過去問を解くことで学校ごとに出題されやすい内容を見定め、最終的に的を絞って仕上げの学習に役立てましょう。
志望校も併願校も、最低過去5年分の過去問は解くことをおすすめします。
過去問だけを解くのではなく、解けなかった問題があれば、教科書や問題集の同じ単元の基礎問題を解き、根本から理解し直す作業が重要です。理解が不足している単元を見つけ、受験直前までに課題を克服しておきましょう。
学習環境と親の役割
受験生は、どの子も孤独で不安な気持ちを抱えています。
お子さんがモチベーションを保ちながら、限られた時間で集中して学習に取り組めるために、親ができるサポートを紹介します。
自宅学習のコツは学習環境整備
受験勉強の自宅学習のコツは、勉強に集中できる環境を整えることです。
子どもは、「勉強しよう」とやる気になっても、テレビの音が聞こえたり、家族がゲームをしていたり、漫画やスマホが目に入ってしまうと、集中力を保てなくなりがちです。
- 子どもの勉強時間は静かにする
- 興味を引くものは目に入らない場所に置く
- 部屋や机の上は整理整頓しておく
- 暑すぎず寒すぎない温度に室温を調節する
このように、子どもがひとりでも学習しやすい環境を意識的に整えてあげましょう。
塾などの勉強をしなければならない環境に身を置くことで、学習効果が上がるお子さんもいます。通塾には料金がかかりますが、お子さんやご家庭に合った塾選びも、親ができる学習環境の整備のひとつでしょう。
親は精神面でのサポートを
高校受験を控えている子どもは、不安やストレスを抱えながら毎日を過ごしています。子ども自身のことだからと放任せず、勉強方法や志望校について一緒に考えることが大切です。その際、子どもの言葉や意思を否定せずに、最後まで聞くことを心がけましょう。
また、普段から何気ない会話を大切にしましょう。会話の中で子どもが辛そうだと感じた場合は、気分転換のための休息を勧めるなど、精神的な負担を軽減して再び勉強に立ち向かう気持ちを回復できるきっかけをつかみやすくなります。
さらに、子どもが辛い時に素直に甘えられるよう、親はいつでも味方でいると伝えることが、お子さんが前向きに、目標への道を一歩ずつ進める手助けになるでしょう。
W早稲田ゼミについて
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どんな生徒にも「わかる」「楽しい」「成績UP」「志望校合格」につながるよう、厳しい研修を受けた教師が授業を行っています。中でも算数,数学の授業は教師とアシスタント講師の3名体制で実施。3人の指導者が教室を回り、一人ひとりの質問に答える形式で、きめ細やかな個別指導で、取り残される子を一人も出しません。また、各授業のワセダオリジナル学習方法「ワセダ式」は、効率的に必ず苦手克服、テスト対策、入試対策につながると評判です。
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