ひと口に中高一貫校と言っても公立と私立の2種類があります。例えば、群馬県・埼玉県・栃木県は私立より、公立中高一貫校受験が活発で、受験倍率も非常に高い学校が揃っています。
入学するためには中学受験の激しい倍率を勝ち抜かなければなりません。そこで気になるのは「いつから中学受験の勉強を始めればいいか?」ではないでしょうか。
本記事では公立中高一貫校の概要と私立中高一貫校との違いを簡単に解説し、合格するためにはいつから中学受験を始めればいいのか、塾の選び方とあわせて解説します。群馬・埼玉・栃木県で中学受験を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
公立中高一貫校とは
公立中高一貫校とは、その名の通り中学校と高校が同じ校舎もしくは同じ敷地内にあり、6年間の一貫教育のもとで学ぶ学校です。「完全型(中等教育学校)」「併設型」「連携型」の3種別があります。中学進学時に受験を必須としているのが「完全型(中等教育学校)」「併設型」です。令和4年度時点、完全型(中等教育学校)が35校、併設型が105校あります(※文部科学省「令和4年度学校基本調査」より)。
その内、群馬県・埼玉県・栃木県には、現在以下の公立中高一貫校が設置されています。
群馬県 | 埼玉県 | 栃木県 | |
---|---|---|---|
完全型 (中等教育学校) | ・群馬県立中央中等教育学校 ・伊勢崎市立四ツ葉学園中等教育学校 | ・さいたま市立大宮国際中等教育学校 | 該当なし |
併設型 | ・太田市立太田中学校 | ・埼玉県立伊奈学園中学校 ・さいたま市立浦和中学校 ・川口市立高校附属中学校 | ・県立宇都宮東高等学校附属中学校 ・県立佐野高等学校附属中学校 ・県立矢板東高等学校附属中学校 |
いずれの学校もカリキュラムは6年間を基本としており、一部の学校は高校からの入学ができません。仮に入学できたとしても、内部進学した生徒とは異なるカリキュラムで授業が展開される場合があります。
完全型(中等教育学校)と併設型、連携型の違い
公立中高一貫校には、完全型(中等教育学校)と併設型、連携型の3種類があります。詳細は以下の通りです。
学校の種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
完全型 (中等教育学校) | 中・高の境がなく、中高一貫教育を行う。 | ・私立の中高一貫教育に近い柔軟な教育が可能 ・先進的な教育を受けられる | ・高校からの入学ができない ・倍率が非常に高い |
併設型 | 同一の設置者によって 中学校と高校が接続している。 | ・試験なしで高校に進学できる ・特色のある教育を受けやすい | ・高校からの入学ができない場合がある ・倍率が比較的高い場合が多い |
連携型 | 設置者が異なる中学校と高校の 教員や生徒間で連携し、中高一貫教育を行う。 | ・試験なしで中学校に入学できる ・柔軟な教育を受けられる | ・高校は試験で合格しなければ進学できない ・学力が高いとは限らない |
上記のように、3つの種類ごとに大きな違いがありますが、中学受験を伴うのは完全型と併設型のみです。連携型はいわゆる一般的な中学校であり、高校への進学も通常の受験生と同じく受験を合格しなければなりません。
先に紹介した3県の公立中高一貫校では、以下の学校が中等教育学校に該当します。
- 群馬県立中央中等教育学校
- 群馬県伊勢崎市立四ツ葉学院中等教育学校
- 埼玉県さいたま市立大宮国際中等教育学校
全国に35校しかない公立の中等教育学校のうち、3校が群馬県と埼玉県に開設されているのです。特に群馬県は中央中等と四ツ葉学園の2校があり、いずれも高い人気を誇っています。
公立中高一貫校と私立中高一貫校の違い
中高一貫校には公立と私立の2種類あり、それぞれどのような点が異なるのか、詳しく解説します。
試験内容
私立中高一貫校の問題が特殊な問題を中心に難易度の高い問題が出題されるのに対し、公立中高一貫校は小学校で学習した内容をベースに出題されます。そのため公立の中高一貫校の場合は入学試験のことを適性検査と言い、区別しています。公立のほうが難易度は低いというわけではありませんが、それぞれ試験問題には違いがあることを覚えておきましょう。
また、試験科目も公立と私立で異なります。私立の場合は国語・算数・理科・社会を試験科目に据えている学校と、一部、4科目のうち2科目のみ出題する学校に分かれます。対して公立は特定の科目で出題されず、複数の科目を複合して出題するパターンがほとんどです。
例として、中央中等教育学校では適性検査Ⅰが学力テスト、適性検査Ⅱが資料読解となっています。特定の科目で試験内容が括られているわけではなく、複数の科目が入り混じって出題されているのが特徴です。時事問題なども織り込まれており、私立中高一貫校では出題されない問題も含まれています。
また、近年は、入試科目として英語の選択、適性検査に英語の要素が盛り込まれているケースも多く見受けられます。
調査書の位置づけ
公立中高一貫校の場合、筆記試験の結果に加えて、調査書の内容も点数化されて合否判断に使用されます。配点は非公開としている場合がほとんどですが、公立中高一貫校の場合は調査書の内容も合格できるか否かを決める重要な材料です。
一方で、私立の場合は違います。学校にもよりますが、多くの学校は筆記試験の結果のみで合否判定するため、調査書の内容で合否が変わることはほとんどありません。
以上の点を理解しておきましょう。
授業料
中学校は義務教育であるため、公立中高一貫校であれば授業料は発生しません。諸々必要となる費用を合算しても40万円程度になるでしょう。一方の私立中学校は約250万円程度の授業料が、3年間で必要になります。中学の時点で大きく費用の差が出てくるのです。
高校は義務教育ではないため公立・私立問わずどちらも授業料が発生しますが、両者の差は年額にして100万円程度と考えておくといいでしょう。ただし、高校では奨学金や就学支援制度が設けられていることもあり、両者に大きな差が発生しない可能性もあります。
就学支援制度に関しては「2023年最新)私立高校の授業料が無料に?補助金で浮くお金を塾や予備校費用へ“埼玉の手厚い補助金事情”」で詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
いずれにしても、公立か私立かどうかで、大きな授業料の差が発生することは覚えておく必要があるでしょう。
中学受験の対策はいつから?
中学受験をしようと決めても、間に合わなければ意味がありません。中学受験の勉強を始めるには、一般的には小学4年生がベストなタイミングであると言われています。あくまでも一般論であるため、あくまでも目安として覚えておくといいでしょう。
中学受験で出題される問題は範囲が広く、復習に時間をかけなければなりません。そのため、余裕をもって3年間は受験勉強にあてるのが理想的です。
ただし、小5・6年生で初めても遅いわけではありません。普段の成績や学習スタイル次第では合格できる可能性は十分にあるでしょう。中学受験のために塾に入れる場合は塾の新学年スタートにあたる小3の終わりが最適ですが、勉強のやり方によっては、多少塾へ通わせるのが遅くなっても問題ない場合もあります。
受験勉強の流れは公立・私立ともに大きく変わらず、学年ごとに次のような流れで勉強を進めるようにしてください。
学年 | 内容 |
---|---|
小学4年生 | 学校の勉強の先取り、基礎固め |
小学5年生~6年生1学期 | 中学受験に向けた対策 |
小学6年生2学期~ | 過去問などの対策 |
公立中高一貫校の入試問題は、小学校で学習した内容がベースの出題であるものの中堅私立中学と同レベルの知識が求められます。小学5年生の時点で中学受験の勉強をしておきましょう。
過去問として筆記試験や面接などの対策を行うのは小学6年生以降で問題ありません。あまり早くやり始めても、基礎や中学受験対策ができていなければ解けない問題が出てきてしまうためです。
中高一貫校の対策
公立中高一貫校と私立中高一貫校の違いなどを踏まえて、それぞれどのような対策が必要なのかを解説していきます。詳細は受験する学校ごとに違うため、すべての学校に当てはまるわけではないことを留意して、読み進めてください。
公立中高一貫校
公立中高一貫校の場合は学校の授業では習わなかった問題はほぼ出題されず、小学校で学習した知識から出題されます。特定の科目として出題されるわけではなく複合的な形で出題されることがほとんどであるため、問題文を読んで瞬時にその知識を引き出せるかどうかが重要です。
また、経済や環境・政治・国際などにまつわる時事問題が出題されるのも公立中高一貫校の特徴と言えます。テレビのニュースや新聞に目を通していなければ解答できない問題でもあるため、机に向かって勉強するだけでは対応できない問題があることも覚えておきましょう。
あわせて注意したいのが調査書です。調査書も内容が点数化され、合否判定の際に使われるため、普段の学習態度や校外学習への積極性なども公立中高一貫校の合格には不可欠です。学校の勉強にもしっかりと参加し、前向きに取り組むようにしましょう。
私立中高一貫校
私立中高一貫校は、学校で学ぶ内容よりも難しい内容が出題されます。算数を例にすると、つるかめ算や流水算などがそれに該当します。受験科目は学校によって異なりますが、公立中高一貫校の受験勉強よりも教科ごとの深い知識が必要になるのです。
調査書の扱いも公立中高一貫校とは異なり、それほど重視されていません。基本は筆記試験の対策を徹底的に行い、本番で良い成績を出せるように勉強を続けるのがベストです。
自力で中学受験は合格できる?
学校と子どものレベルの差がどの程度あるのかにもよりますが、自力で中学受験を制すこと自体はできないわけではありません。特に公立中高一貫校の場合は特殊な問題が出題されることが少ないため、普段の学習習慣が身についていれば合格できる可能性は高いと言えるでしょう。
しかし、受験する中高一貫校の受験情報や出題傾向を知っていたほうが合格に近道であることを考えると、塾に通う方が効率的と言えます。塾の教師は中高一貫校の受験情報に精通しており、カリキュラムもその学校に合わせた内容で展開されるため無駄がないためです。
インターネット上の情報では間違っているものもありますが、どれが正しい情報かを判断するのは難しいでしょう。的確な進路相談も受けられるため、公立・私立問わず中高一貫校を受験する際には塾に通うことをおすすめします。
中学受験のために通わせる塾の選び方
中学受験は自力でも合格できる可能性はあるものの、塾に通って勉強するほうが合格にはグッと近道になります。しかし、中学受験のために通わせる塾を選ぶ際には慎重にならなくてはなりません。塾を検討している際は、以下の項目を確認して通わせる塾を選びましょう。
- 志望校の合格実績
- 通いやすさ
- 塾の雰囲気やレベル
それぞれ詳しく見てみましょう。
志望校の合格実績
まず欠かせないのは、志望校への合格実績がどの程度あるかです。毎年春や夏になると、新聞の折り込み広告で合格実績を公開している塾があります。自分が受験する公立中高一貫校の合格実績はどうなっているかを確認して、通わせる塾を選びましょう。
また、合格者数だけではなく、受験者に対してどの程度合格しているかを示す合格率も参考してください。むしろ合格実績よりも合格率のほうが重要であり、割合が高ければ高いほど志望校に対するノウハウや情報を持っている証拠となるでしょう。
注意点としては1年分の実績だけで判断しないことです。可能であれば過去数年分の実績に目を通すようにしてください。過去の合格実績や合格率はホームページなどで公開されている場合は多いため、必ずチェックしましょう。
通いやすさ
中学受験で通わせる塾は、通いさすさも考えて選ぶようにしてください。車で送迎できるのであればそのエリアまで含めてもいいかもしれませんが、そうでないのであれば子どもが自分の足で通える範囲かどうかも検討する必要があるでしょう。
受験生と言っても中学受験であるため小学生です。あまり遠方の塾に通わせても長続きせず、塾に通わなくなってしまう可能性もあります。また、安全面や学校が終わってからの時間の余裕も考慮しなければ、子どもが受験勉強以外のところで疲弊してしまう可能性もあるのです。
通いやすい範囲で中学受験のために通わせる塾を選んでおくと、これらのリスクが少なくなります。勉強以外のところで中学受験が嫌になってしまわないように配慮しましょう。
塾の雰囲気やレベル
中学受験の塾と言っても雰囲気やレベルは大きく異なります。特に雰囲気は厳しいスタイルを貫いている場合もあれば、長く続けられるような優しいものまでさまざまです。塾の雰囲気は、子どもが継続して通えるかどうかに深く関係するため、慎重に選ぶようにしましょう。
また、レベルについても同様です。中学受験の塾の中でも対応できるレベルが決まっている場合もあり、そのレベルが合っていなければ塾に通わせても無意味になってしまいます。雰囲気とレベルは、中学受験のために通わせる塾選びで重要な位置を占めているのです。
W早稲田ゼミについて
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