義務教育である小・中学校の9年間と高校3年間で学習する漢字の総数は、2,136文字と学習指導要領で決められています。しかし、中には日常生活であまり使うことがなく、覚えられない漢字もあるでしょう。常用漢字とも呼ばれているこれらを効率よく覚えるには、正しい覚え方を身に着ける必要が大切です。
本記事では、漢字を覚えきれていない場合に起きる問題と効率的な覚え方について解説します。
目次(クリックで開閉)
・漢字が覚えられない原因・漢字を覚えないと起こる問題
┗国語のテストで苦戦する
┗他の科目でも苦戦する可能性がある
┗漢字の表記ミスで、減点される可能性がある
・効率的な漢字の覚え方7選
┗①声に出しながら漢字を書く
┗②部首、イメージ、語呂合わせで漢字を覚える
┗③漢字の意味を理解する
┗④単語・熟語で覚える
┗⑤自分で漢字テストを作る
┗⑥夜に漢字を覚える
┗⑦ノートの使い方を工夫する
・学年別の効率的な漢字の覚え方
┗小学生の漢字の覚え方
┗中学生の漢字の覚え方
┗高校生の漢字の覚え方
・効率的に漢字を覚えるための手段
┗読書で漢字を覚える
┗問題集を活用する
┗塾や予備校で勉強する
漢字が覚えられない原因
漢字は国語の中でも暗記学習になります。すぐに覚えられる人もいれば、時間をかけて定着させる人もいるでしょう。基本的には暗記に適した勉強方法を実践する必要があるため、短期記憶や中期記憶にしか残らない形で覚えるのは良くない覚え方です。
つまり、長期記憶に残るような勉強方法が実践できていないと、漢字が覚えられないという結果につながってしまうのです。本記事を参考にして、長期記憶に残すための覚え方を身に付けましょう。
漢字を覚えないと起こる問題
漢字を覚えきれないことで起こりうる問題はいくつかあります。学校生活では主に次の3つが考えられます。
- 国語のテストで苦戦する
- 他の科目でも苦戦する可能性がある
- 漢字の表記ミスで、減点される可能性がある
詳しく見てみましょう。
国語のテストで苦戦する
漢字と聞いてパッと思い浮かぶのが国語でしょう。文章を読んで解答することが多い国語では、当然漢字が多く使われています。この時、漢字が読めないと、内容を理解できずにテストで苦戦する可能性があります。
また、古文や漢文のような文章でも漢字が多用されているため、漢字に対して苦手意識があるとそれだけで不利になってしまうでしょう。
他の科目でも苦戦する可能性がある
漢字が使われるのは、国語以外の科目も同じです。教科書やテスト問題には多くの漢字が使われており、覚えきれていないとテストで問題文を理解できないかもしれません。
つまり、漢字は国語だけではなく他の科目でも非常に重要な要素なのです。漢字が覚えられないとあきらめず、しっかりと覚えるための努力をすることがとても大切です。
漢字の表記ミスで、減点される可能性がある
漢字は読むだけではなく書けるようになっておく必要があります。特に国語や社会などの科目では、漢字が書けずに平仮名で解答してしまうと、減点される場合も珍しくありません。
特に受験では、漢字が書けないと部分点どころか正解扱いにしてもらえない場合もあります。日頃から正しい覚え方を実践して、漢字が読めない・書けないから問題が解けないといった事態をなくすようにしましょう。
読めるようにするだけではなく、しっかりと正確に書けるようにしておくことも、漢字を覚えるうえでは重要なポイントなのです。もちろん、受験でも漢字はほぼ必ず出題されるため、積極的に覚える必要があります。
効率的な漢字の覚え方7選
漢字を覚えるための勉強法と聞くと、ひたすらノートに書くイメージを持つ人がいます。確かに悪くない方法ですが、ただ書くだけでは単純作業になってしまい、効率的に覚えているとはいいがたい状況です。
より効率的に漢字を覚えるには、具体的な覚え方やノートの使い方を見直したほうが良いでしょう。漢字を覚えるのに最適な覚え方を7つ紹介します。
①声に出しながら漢字を書く
漢字の基本は読み書きができることですが、そのうち読めることの方がどちらかと言えば重要です。
漢字を見てその読みを口に出すだけで、視覚・聴覚を刺激することができます。さらに、書きながら読むことで触覚まで刺激できるため、非常に有効な覚え方と言えるのです。漢字に限った話ではありませんが、五感を複数刺激すると、ひとつの動作で覚えようとする時よりも覚えやすくなります。特に家での勉強では、ノートに漢字を書きながら声に出すようにすると良いでしょう。
②部首、イメージ、語呂合わせで漢字を覚える
漢字には部首が存在しており、これを利用して漢字を覚える方法も有効です。例えば「きへん」の漢字をグルーピングしておくことで、部首とセットで漢字を覚えることが可能です。また、部首にはある程度共通した意味があるため、セットで覚えることで効率的に漢字を覚えられるようになるでしょう。
他には成り立ちに注目した方法もあります。「川」は三本の川が流れている様子を漢字にしたものです。他にも、漢字を分解して覚えるのも良いでしょう。代表的なものは「親」で「木の上に立って見るのが親」と覚えている人も少なくありません。このようにイメージや語呂合わせで覚える方法も実践してみる価値はあります。
③漢字の意味を理解する
漢字には一つひとつ意味があります。漢字を覚えられない原因のひとつに漢字の意味を理解できていない場合もあります。意味が理解できていないため漢字が思い出せないといった現象です。
時間はかかりますが、意味が分からない漢字はきちんと漢和辞典などで意味を調べるようにしましょう。語呂合わせと同じく意味と漢字の形をイメージで覚えられるため、非常に有効です。
④単語・熟語で覚える
漢字ひとつをひたすら覚えるよりも、単語や熟語にして覚えたほうが効率的です。ノートに漢字ひとつだけを繰り返して書くのも勉強法の1つですが、単語・熟語のセットで覚えた方が、漢字の持つイメージも一緒に覚えることができるでしょう。
特に国語のテストや入試の問題では、単語や熟語を問う問題が出題される場合もあります。漢字単体で覚えておくよりも汎用性が高いため、新しい漢字や覚えきれていない漢字は単語・熟語で覚えることをおすすめします。
⑤自分で漢字テストを作る
自分で漢字テストを作り、時間を測って解いてみるのも良いでしょう。テストを作るには少しでも漢字に触れる必要があるため、自然と漢字が頭の中に入ってきます。自分で作った漢字テストでも、解答してみると意外と解けないものに遭遇する可能性もあるため、非常におすすめです。
但し、自作の漢字テストをする場合は、作ってすぐに解かないことが重要です。作った直後だと答えを覚えてしまっている可能性があり、せっかく解いても効果が薄くなってしまいます。少し日を空けてから自作テストに取り組むようにしましょう。
⑥夜に漢字を覚える
漢字は暗記科目であるため、夜寝る前の勉強がおすすめです。脳は一日に得た情報を、人間が寝ている間に整理します。寝る直前に暗記すると、翌日の朝には記憶に残こりやすいと言われているのです。
漢字に限らず暗記科目には非常に有効な方法ですが、漢字も同様です。睡眠時間を削って覚えることに注力するよりも、睡眠時間を確保しつつ寝る前に勉強するようにしましょう。
⑦ノートの使い方を工夫する
漢字を覚えるためにはノートの工夫も必要です。ただ漢字を書きなぐるだけではなく、次のようなノートを作るのが良いでしょう。
- 覚えたい漢字を書く
- 音訓の読み方や送り仮名を書く
- 漢字の持つ意味を書く
- 書き順を書く
- 単語や熟語を書く
これらを1冊のノートで実践することで、効率的に漢字を覚えられるノートを作ることができます。テスト前や復習にも使えるため、ぜひ1冊作っておくことをおすすめします。
学年別の効率的な漢字の覚え方
小~高校生の間で2,000文字以上を覚える必要がある漢字は、小学生・中学校・高校生それぞれで適した覚え方が異なります。個人差はありますが、各学年でおすすめの漢字の覚え方も覚えておきましょう。
小学生の漢字の覚え方
小学生は、低学年の間に楽しく漢字を覚えることが特に大切です。保護者の協力の元、ゲーム感覚で覚えられるような工夫をしたり、強制しすぎない勉強法を一緒にやってみたりするのが有効です。代表的な覚え方には、声に出したり、指でなぞったりする方法があります。
小学生で習う漢字は1,026文字とされており、中学・高校も引き続き新しい漢字を覚えることになります。小学生の段階で漢字に対して苦手意識を持ってしまうと、そのまま苦手な感情を引きずったままになってしまいかねません。特に低学年の間は必死に覚えさせることに注力しすぎず、無理のないペースで勉強させることが大切です。
高学年になれば、保護者のサポートなしで勉強できるようになるでしょう。小学1年生から漢字を習い始めるため、まずは覚えることよりも楽しんで毎日コツコツできるような工夫やサポートが必要です。
中学生の漢字の覚え方
中学生になると、文章のひとつひとつが長くなるため、漢字単体や熟語の理解を求められるようになります。また、小学生のときのように読み書きができれば良いというわけではなく、漢字それぞれの意味を理解する必要も出てきます。漢字に対する幅広い知識が求められるため、漢字の勉強を通じて語彙力の向上を目指しましょう。
具体的には先に紹介したノートの取り方を実践し、覚えるようにすることです。中学生になると、今まで学習した漢字を覚えている前提で進んでいきます。国語以外の科目も同様のスタンスで進んでいくため、漢字が覚えきれていないと国語以外の科目にも悪影響を及ぼしかねません。
中学生で習う漢字は、全部で1,110文字となり、常用漢字を小・中の9年間でマスターすることになります。漢字単体を覚えるのではなく、熟語単位で覚えることが中学生の漢字学習では求められます。都度漢字を調べて、意味を理解することが重要です。
高校生の漢字の覚え方
大学入試に必要な漢字をほとんど中学生のうちに学習し終わっているため、高校生では完璧に書ける必要があります。学習する漢字の数も333文字と少ないものの、だからと言って手を抜いていいわけではありません。
また、単語や熟語などの語彙を増やしておく必要もあるでしょう。特に大学入試での漢字の出題数は少ないものの、覚えていれば得点につながる重要な要素です。入試で頻出の漢字を出題している問題集を購入して勉強で使用すると良いかもしれません。
おすすめは、漢字検定(漢検)の問題集です。大学受験では漢検2級以上の級を持っていると、入試結果に加点などされる場合があります。また、漢検2級レベルがあれば、大学入試で出題される漢字を網羅するのに最適です。漢字の勉強と合わせて、漢字検定の取得を目指してみてはいかがでしょうか。
効率的に漢字を覚えるための手段
先述した通り、漢字を効率的に覚えるにはひたすら書き続けるだけではいけません。一方で、書く以外の覚え方も理解しておく必要があるでしょう。効率的な覚え方について解説します。
読書で漢字を覚える
読書で漢字を覚える方法があります。ひと口に本と言っても様々なものがあり、選び方を間違えてしまうと漢字を覚えるどころの話ではなくなってしまいます。漢字のレベルが自身のレベルに適した読書を模索しましょう。
本は購入する以外にも、図書館で借りるなどの方法もあります。語彙が簡単な本を選ぶことで、自分の学年に合っていない漢字で苦戦せずに読書することも可能です。漢字を覚える以外にも長文に慣れることもできるため、読書を習慣にしてみることをぜひおすすめします。
問題集を活用する
市販の問題集を活用する場合は、自分に合った問題集を選択することが重要です。レベルが違いすぎるものを選んでしまうと、問題に手を付けられず、やりきれないまま終わってしまいます。選ぶのが大変な場合は、漢検の問題集を選びましょう。級ごとの学年の目安は次の通りです。
- 4級:中学在学程度
- 3級:中学卒業程度
- 準2級:高校在学程度
- 2級:高校卒業程度
- 準1級・1級:大学生・一般向け
高校受験では3級と、大学受験では2級程度のレベルを目指しましょう。合格するには漢字に関する幅広い知識が求められますが、その分きちんとした漢字の知識が身に着きます。受験しなくてもいいので、ぜひ漢字を覚える一環として実践してみると良いでしょう。
塾や予備校で勉強する
塾や予備校では、定期的な漢字テストが行われるため、自力で勉強するよりも効率よく勉強ができます。自分ではなく教師が採点する関係で細かな部分をチェックされるため、漢字を覚えるには非常に有効です。自力でできない人や誰かのサポートを受けたいという人は、塾や予備校を利用することもおすすめです。
W早稲田ゼミとは
W早稲田ゼミは埼玉・群馬・栃木県で小学校2年生~高校3年生までを対象にした学習塾・予備校です。全校で約50校舎を展開しています。
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