数学の得点アップにつながる勉強法が分からない受験生は多いです。しかし、大学受験で理系を選択しなくても、国公立大学を狙う場合は数学が必修科目です。私立大学の文系でも、経済学部や経営学部・商学部など、数学ⅠAや数学ⅡBの知識が必要な学部もあります。
数学が苦手でも、正しい学習法を知り、効率的に理解を深めて問題演習に取り組めば、成績アップと入試での高得点獲得を狙えるようになります。
本記事では、大学別の数学の選択科目から、受験に必要な数学力について、大学受験への対策、効率的な勉強方法についてお伝えします。
大学受験の数学の選択科目
高校では、1年生の夏休み前後から文理選択希望の調査が始まり、2年生からは文系・理系に分かれて授業を受けます。
文理選択は、大学の受験科目や将来就きたい職業に大きく関わる重要な選択です。「数学が苦手だから文系」などと簡単に考えずに、受験や就職に必要な情報を集めて、後悔しない選択を心がけましょう。
選択科目の種類
高校数学には「数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲ・C」の6つの科目があります。数学Ⅰは必修科目とされ、残りの5つは高校ごとに異なります。文理選択で文系を選べば数学Ⅰ・Aのみの場合がある一方、数学Ⅱ・Bまでを必修としている高校もあります。
大学受験ではこれらの6つ以外に、「簿記・会計」「情報関連基礎」といった科目も存在します。
数学が苦手で文系の大学に進むつもりでも、数学が必要ないとは言いきれません。経済学部などで数学が必要な大学もあります。
国公立大学と私立大学の一般的な数学の選択科目
国公立大学と私立大学での一般的な数学の選択科目は以下のとおりです。
※2025年から共通テストの数学選択に数学Cが入る可能性あり
国公立大学(文系)
共通テスト
数学Ⅰ・Aから1科目
数学Ⅱ・B・(簿記会計・情報関係基礎)から1科目
二次試験
数学Ⅰ・A・Ⅱ・B(数学を選択した場合)
国公立大学(理系)
共通テスト
数学Ⅰ・Aから1科目
数学Ⅱ・B・(簿記会計・情報関係基礎)から1科目
二次試験
数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲ
私立大学 ※一般入試
文系:数学Ⅰ・A・Ⅱ・B(数学を選択した場合)
理系:数学Ⅰ・A・Ⅱ・B・Ⅲ
歯学部,薬学部,農学部など:数学Ⅰ・A・Ⅱ・B
国公立大学入学のためには文系でも共通テストの受験が必須で、数学の勉強が必要になります。私立大学の文系受験では、地理歴史・公民・数学から1つを選ぶ形式です。
自分の進路に数学がどの程度必要かを見て、勉強を進めることが大切です。
大学受験の流れや他教科の選択科目については「大学受験の一般入試の流れや仕組みを国公立・私立大学別に解説!」を参考にしてください。
大学受験数学に必要な力とは
大学受験数学に必要なのは、基礎力や思考力・記述力とともに、授業で学習した公式や定理を根本から理解して使いこなすことです。
まず、受験に対応するための数学力の重要性についてお伝えします。
数学の基礎力の重要性
数学は小学校、中学校からの積み重ね教科です。前に学習したことを用いて次の学習を進めるため、基礎が定着していなければ解けない問題が増えていきます。逆に、基礎がしっかりしていれば、難しい問題に対応できる応用力を発揮できます。
高校で数学の問題が解けない原因は、基礎固めが不十分であることがほとんどです。大学受験で求められる難解な問題に立ち向かうときこそ、基礎をおろそかにせずに丁寧に学び直す必要があります。
まずは、教科書レベルの例題や標準問題をこなして基礎を定着させましょう。問題数を重ねて計算力を身に付ければ、ケアレスミスをなくすことにもつながり、偏差値アップ実現の近道になります。
思考力と記述力が求められる理由
数学では、基礎力をベースにした思考力が必要です。
もし答えにたどり着けても、「なぜそうなるのか」といった理由を説明できなければ、問題を根本から理解したことにはなりません。
• 問題文が表していることは何か
• 問いが求めているものは何か
• 答えにたどり着くためには何が必要か
問題から読み取ったこれらの事柄を筋道を立てて整理し、問題と答えを結びつけるために考える思考力が、数学には不可欠なのです。
そして、頭で考えた過程を書き出す際に必要なのが記述力です。
• 問題文から何を理解したのか
• 問いに答えるために何をすればいいのか
これらが記載された答案から、採点者が解答者の思考過程を想像でき、数学の問題への理解度を確認するのです。
基礎力とともに思考力と記述力が伴うことで、数学を根本から理解でき、難易度の高い問題や初見の問題でも解けるようになります。
基本的な公式と定理の理解
大学受験の数学の問題は、学校で習った知識を基本として出題されます。教科書や教科書に準じた参考書などの教材を活用して、基本的な公式や定理を根本から理解しておくことが大切です。
公式や定理をただ丸暗記しただけでは応用問題に対応できないため、頭で考える前に使いこなせるレベルになるまで問題への理解を深めましょう。
学び方のポイントは、解説を1行ずつ丁寧に、理解できていることを確認しながら読み進めることです。書かれていることをしっかりと読み込んで、一部分ずつ知識を身に付けることで、問題を解くためになぜ公式や定理が必要なのかが頭に残りやすくなります。
公式や定理を理解した後は、それらを使った問題を繰り返し解いて実力を身に付けましょう。
大学受験数学における分野別の勉強法
数学が苦手な人でも、得意な人でも、まずは各分野の教科書レベルの問題を確実に理解し、地道に基礎知識を身に付けることが不可欠です。まずは問題演習を繰り返しながら、自分がどの分野に苦手意識を持っているのかを見つけ出しましょう。
代数、幾何、解析、確率統計の各分野の勉強法
数学の分野は、大きく4つに分類されます。
分野 | 中学校での学習例 | 高校での学習例 |
---|---|---|
代数 | 正負の数 文字式の使い方 1次方程式 連立方程式 平方根 因数分解 2次方程式 | 数と式 3次方程式 複素数 ベクトル 高次方程式 |
幾何 | 平面、空間図形 図形の合同、相似 円周角と中心角 三平方の定理 | 三角比 図形の性質 図形と方程式 |
解析 | 比例、反比例 1次関数 2次関数 | 指数、対数関数 数列 漸化式 微分、積分 |
確率 統計 | 度数、ヒストグラム 確率 標本調査 | 分散、相関係数 場合の数と確率 確率分布 |
中学校で学習したことをもとに、高校ではさらに難易度が上がった学習を進めていきます。高校数学で分からない内容や解けない問題がある場合は、分野ごとに前に習った単元に立ち戻って学習し直す必要があります。
代数では数式や計算プロセスを何度も書いて問題の解き方を定着させる、幾何は実際に図を書いて整理して理解する、解析や確率・統計はグラフや問題文から得られた情報を書き出してまとめるなどの、ポイントを押さえながら学習を進めていきましょう。
問題集や参考書の選び方・使い方
数学が苦手な人は、まずは教科書レベルの問題集や参考書で学習を始めることをおすすめします。
例えば、チャート式シリーズは、難関大志望は青チャート、文系大志望は黄チャート、数学が極端に苦手な人は白チャートと色分けされているため、難易度を選んで使用できます。
また、数学では基礎的な問題の考え方や解法をかみ砕いて理解することが重要になるため、必要な単元を網羅し、解説が分かりやすく、問題の概念や解き方の背景まで書かれている参考書がおすすめです。
さらに、数学は何度も繰り返し解くことで力がつく科目です。薄い問題集1冊を何周も解き直せば、知識の定着だけでなく、達成感やモチベーションアップも期待できます。
問題集を使用しなくても、教科書のみで基礎知識の獲得には十分に対応できます。複数の参考書を無理して使うのではなく、自分が数学に充てられる勉強時間を計算し、狙いを絞って学習に取り組みましょう。
過去問の使い方と注意点
過去問では、志望校の入試問題の出題傾向を分析しながら、基礎知識の定着を目指します。過去問だけを使って演習を繰り返すのではなく、解けない問題にぶつかった時は教科書や参考書に立ち戻って典型問題を解き直すなど、復習をしながら演習を進めることが大事です。問題の理解を深めることで、志望校が求めている数学における考え方を見つけ出し、出題者の意図に応じた数学の学力を身に付けやすくなります。
大学入試の3ヶ月前辺りには教科書や問題集・参考書の反復練習を終え、志望校の過去問に取り組み始めましょう。
大学受験別の対策方法
より合格への可能性を広げるためには、試験ごとの対策が必要です。
共通テスト対策とともに、各大学の過去問を活用して入試問題の傾向を分析しながら、自分の苦手分野や、難度の高い問題集で応用力を身に付ける必要があります。
共通テスト対策
共通テストはマークシートでの解答形式の試験で、解答欄のズレの確認や、塗りつぶす作業にある程度時間がかかります。また、以前の大学入試センター試験の数学と比較すると、単に計算をするだけでなく、思考力が求められる問題が増えています。そのため、苦手な問題があると時間不足に陥りやすいです。
共通テスト対策では、数学の標準的な知識獲得の他に、マークシートでの解答訓練や時間配分を意識した解答の練習を行いましょう。
共通テストで頻出する数学の問題特性
以前のセンター試験と比較した共通テストの問題特性は以下のとおりです。
• 問題内容を考察する力が必要
• 公式を使うだけでできる計算問題は減少している
• 問題文の文章量が多い
また、状況説明などの描写によって問題文が長くなり、以前は二次試験でしか見なかった問題が出題されるなど、難問も多いです。
共通テストの問題に対応できる力を身に付けるためには、基礎力・思考力・記述力とともに数学の定理や公式を根本から理解しておくことが重要です。
私立大学対策
共通テストと同様に、私立大学の一般入試でも基礎的な知識の定着が最も重要です。共通テストレベルの数学の問題を何度も繰り返し解き、正確に素早く答えを導ける力を身に付けておきましょう。
さらに、大学入試では思考力の有無=実力の有無だと判断され、教科書で学習した解法では解ききれない問題が出題されることも多いです。問題の基本的な考え方から答えの導き方まで、解法を深く理解しておくとともに、さまざまなパターンの出題に対応できる力を身に付けておきましょう。
難関大学対策
難関大学の入試問題では、時間をかけても解けない難しすぎる問題が出題されることがあります。こういった問題は点数を落としても合否に影響が出る可能性は低いです。むしろ、解けない問題でつまずいて時間をロスせずに、分かる問題を先に解答することが重要です。
試験開始後は出題された問題を見て、自分が解ける問題かどうかを判断し、易しい問題から解くようにしましょう。どうしても分からない問題は、解くのを諦めて他の問題の完成度を上げる方が、点数を稼げる可能性があります。
大学受験数学の効率的な勉強法
最後に、大学受験のための数学の効率的な勉強方法について紹介します。
• インプットとアウトプットを繰り返す
• 時間短縮のためのテクニックを身に付ける
• 効率的に学習できるスケジュール設定をする
これらを意識しながら学習を進め、限られた時間を活用して数学力を確実に身に付けましょう。
インプットとアウトプットを繰り返す
数学の勉強は、インプットとアウトプットを繰り返すのがポイントです。
- 解法を理解する(インプット)
- 問題を解く(アウトプット)
- 間違えた原因を見つけて理解し直す(インプット)
- 間違えた問題を解き直す(アウトプット)
解法を見て理解した問題は、実際に解いてみて初めて、知識として身に付きます。これらを繰り返すことが、効率的に数学の力を高め、最終的に得るべき知識を定着させる近道なのです。
この時に、なぜ間違えたのかの原因を探ることが大切です。解き方を覚えきれていなかった、問題から情報を読み取れなかったなど、原因を踏まえて、ひとつずつ解決していきましょう。
時間短縮テクニック
制限時間内にすべての問題を解き終わるためには、時間配分が重要です。
すぐに解法を思いつく問題を最初に解き、解き方が思い浮かばない問題は飛ばして最後に解くようにしましょう。なぜなら、数学の問題は、解くための知識がなければ時間をかけても解答できないからです。
普段から制限時間を設けて問題を解く訓練を行うと、時間を意識しながら問題を解く癖がつきます。考える時間を10分と定め、時間を過ぎても解けない問題は解答を見る、といったルールを決めましょう。理解できている問題は5分以内、難しい応用問題でも10分以内で解けると分かれば、試験で先に解き進める問題を判断しやすくもなります。
模試などを受験して大学入試本番の予行演習をおこない、時間配分の練習を重ねておくのもいいでしょう。
効率的なスケジュールの立て方
大学受験のための学習は、いつまでにどの程度の学力を身に付ければ志望校に合格できるかを考えたスケジュール作成がおすすめです。
• 高2の3学期~高3の1学期までで基礎を固める
• 夏休み~秋頃で典型問題を完璧にする
• 12月からは過去問や応用問題を解きながら実践力を付ける
このように、受験日から逆算してスケジュールを立て、学習する内容を紙に書き出します。この時、1日に自分が無理なくこなせる量を考えて計画を練ることが大切です。
大学受験での勉強時間について詳しく知りたい方は「大学受験は勉強時間の確保と工夫で志望校合格へ!」を参考にしてください。
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塾は料金がかかりますが、志望校合格のためのスケジュール作成のアドバイスをもらえたり、同じ志望校の受験生と勉強の進み具合を共有したり、自分では気付けない情報を得られるメリットがあります。
大学入試で数学力を発揮して志望校入学を実現させるために、効率的な数学勉強法を参考にしてください。
W早稲田ゼミについて
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国公立、私立大学問わず多くの大学が入試で共通テストを利用しています。共通テストは近年、思考力を問う出題など難易度が上がっているとともに、解答にスピードが要求されます。正確に、そして確実に得点につなげるためにも、早い段階から共通テスト対策なども意識した学習が必要です。
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