多くの子どもが最初に経験する受験が高校受験という家庭は少なくありません。中学3年生あたりになると、今まで問題集を使って自力で勉強していた同級生が塾に通い出すケースも多くあります。
一方で、塾なしで高校受験に挑戦できないのか気になっている方もいるでしょう。さまざまな制約の中、塾なしで高校受験に合格したいという人もいるかもしれませんが、その結果受験に失敗してしまっては意味がありません。
本記事では、塾なしで高校受験に挑戦することのメリット・デメリットと気を付けるべきポイントを解説します。
目次(クリックで開閉)
・塾なしで高校受験に合格することは可能
・「塾なし」で高校受験を乗り切れるかセルフチェック!
┗学力と志望校のレベルに大きな差がない
┗自学自習の習慣が身についている
┗苦手科目がない・少ない
┗中1から内申点の維持を意識している
┗受験本番の1年以上前である
・塾なしで高校受験に挑むメリット
┗塾費用が必要ない
┗問題集を活用して、自分なりの学習ができる
┗部活との両立など自分のペースで受験対策できる
・塾なしで高校受験に挑むデメリット
┗自身の勉強方法が合っているか判断できない
┗わからない問題をすぐに質問できない
┗モチベーション維持が難しい
┗一人では無理と感じた時には遅い可能性がある
・塾なしで高校受験対策をするときに気を付けるポイント
┗問題集を買いすぎない
┗勉強スケジュールを細かく立てる
┗模試を積極的に受けて弱点を把握する
┗過去問題をたくさん解く
・塾なしで高校受験に挑まないほうが良い人の特徴
塾なしで高校受験に合格することは可能
結論として、塾なしで高校受験に合格することはできます。但し、全員が塾なしで高校受験合格を達成できるかと言われれば、そうとは言い切れないのも事実です。2008年に文部科学省が実施した「子どもの学校外での学習活動に関する実態調査報告」によると、中3生の65.2%が塾に通っていることがわかっています。この全国調査から約15年が経過し、教育をめぐる環境がますます激化していることから、特に関東エリアに住んでいる中学生の通塾率はかなり高いことが推測されます。
(引用:文部科学省「子どもの学校外での学習活動に関する実態調査報告」)
このように、理屈上塾なしで高校受験に挑戦することはできます。しかし、実際には多くの中学生が塾なしで高校受験には挑んでいないのです。このような背景があることを踏まえて、以下の章を読み進めてください。
「塾なし」で高校受験を乗り切れるかセルフチェック!
どうしても塾なしで高校受験に合格したい場合は、次の5つのポイントを押さえているかを確認してから判断するようにしてください。
☑ 学力と志望校のレベルに大きな差がない
☑ 自学自習の習慣が身についている
☑ 苦手科目がない・少ない
☑ 中1から内申点の維持を意識している
☑ 受験本番の1年以上前である
上記の条件に当てはまらない場合は、塾なしでの高校受験は積極的に検討しないほうが良いでしょう。塾なしで受験に挑むことはできるかもしれませんが、志望校合格には相当な苦労をしなければならない可能性があります。
それぞれ詳しく見てみましょう。
学力と志望校のレベルに大きな差がない
自身の今の学力と、志望校合格に必要な学力にどの程度の差があるのかをはっきりさせておく必要があります。もっとも効果的なのは模試を活用することです。この模試の結果と合格までのボーダーラインに大きな差がなければ、塾なしでの高校受験を検討してもいいでしょう。
あまりにも差が開いている場合は非常に危険です。不足している科目の内容を自力で復習しなければならず、かつ効果が出るまでに時間がかかる可能性があります。自分のレベルが志望校の合格ラインとほぼ同等、もしくは超えていなければ、塾なしでの高校受験はあまりお勧めできません。
自学自習の習慣が身についている
自学自習をする習慣が身についており、自分自身で学習を進められるのであれば塾なしでの高校受験はありかもしれません。先に解説した志望校と自分の実力の差を埋めるためと言うのもありますが、受験対策の難しい内容に挑戦するにも、自分で課題を解決できる力が必要となるためです。
普段から勉強する習慣がついていない、もしくは部活動などの関係で時間が確保できていなかった人は塾なしでの高校受験は控えたほうが良いでしょう。学校の定期テストとは比べ物にならないほど範囲も広く、難しい問題が出題される可能性もあるためです。自身が自学自習できるのかどうかも、塾なしで高校受験に挑戦するか否かの大きなポイントとなります。
苦手科目がない・少ない
誰にでも苦手な科目はあるかもしれませんが、その苦手のレベルがそれほど大きく影響を与えない、もしくは特段苦手な科目がないという人なら塾なしでの受験を検討してもいいでしょう。
5科目の中に苦手な科目があると自力で苦手を克服しなければならないため、ほかの科目の勉強時間を奪ってしまう可能性があります。バランスよく勉強するためには、塾に通って高校受験の対策を講じるのがベストです。
中1から内申点の維持を意識している
中1から内申点を意識した勉強ができているかも大事な判断基準です。例えば、群馬県、栃木県、埼玉県の内申点は、公立高校入試において重要な合格判定の要素となりうるものであり、軽視することはできません。中1の段階から定期テストの点数を意識して、内申点を高めようとしている人であれば塾なしでの高校受験でも勝算がある可能性はあります。
受験本番の1年以上前である
受験本番の半年前を切って、追い込みで自力での受験勉強はあまり賢明な方法とは言えません。遅くとも塾に通うか否かの判断は、受験本番の1年以上前には判断しなければ、後悔する結果になる可能性もあるためです。
そもそも、受験本番の半年前になって受験勉強を始めているようでは、いくらなんでも遅すぎます。塾なしで、自力で高校受験に挑むと決めるのであれば、受験の1年以上前で決めておく必要があるでしょう。
塾なしで高校受験に挑むメリット
塾なしで高校受験に挑むのは、一定のリスクを伴うものの次のようなメリットがあります。
- 塾費用が必要ない
- 問題集を活用して自分なりの学習ができる
- 部活との両立など自分のペースで受験対策できる
もちろん、塾なしで高校受験に挑むリスクをしっかり理解したうえで判断しなければなりません。しかし、上記のようなメリットを優先して塾に通わないという選択を取ることもできます。それぞれ詳しく見てみましょう。
塾費用が必要ない
塾に通わず高校受験へ挑むことになるため、当然塾にかかる費用は発生しません。ひと口に塾費用と言っても、通常授業にかかる授業料や講習会費、特別講座の受講費など多くの項目があります。合計するとかなり大きな金額になるため、これらを一切負担しなくてよくなるのは大きなメリットと言えるでしょう。
問題集を活用して、自分なりの学習ができる
塾に通う場合は、塾が指定する教材を用いて塾が教える勉強法で勉強しなければなりません。もし教材が自分に合っていない、教え方や勉強方法に違和感を覚えたとしても、それ以外の方法を選択しにくいケースも発生します。これらの要素に縛られず、自分が気に入った教材や勉強方法で勉強できるのは、塾なしで高校受験に挑む人が受けられるメリットです。
部活との両立など自分のペースで受験対策できる
塾は授業時間が固定されているため、部活や習い事などと両立させるのが難しい場合があります。しかし、塾なしで高校受験をする場合は、時間の制約が少なくなるため自分のペースで受験勉強に打ち込むことができるでしょう。部活以外の習い事をしている場合も同様で、自分で時間を調整して受験勉強に時間を当てることができます。
塾なしで高校受験に挑むデメリット
一方で、塾なしで高校受験に挑むうえで知っておきたいデメリットがあるのも事実です。いくつかありますが、代表的なものは次の通りです。
- 自身の勉強方法が合っているか判断できない
- わからない問題をすぐに質問できない
- モチベーション維持が難しい
- 一人では無理と感じた時には遅い可能性がある
塾なしで高校受験に挑むリスクともいえる部分であり、冷静に判断しなければならないポイントです。以下で詳細を解説しますが、ひとつでも「このデメリットがあるとちょっと厳しい」と感じるようであれば、塾なしでの高校受験への挑戦は控えたほうがいいかもしれません。
自身の勉強方法が合っているか判断できない
完全に独学で高校受験に挑む形になるため、自分の勉強方法に自信がない場合は塾なしでの高校受験を検討しないほうが良いでしょう。塾によってそれぞれ違いますが、各塾とも合格実績に裏付けされた指導方法などがあります。その方法を活用して受験勉強に挑戦したほうが、結果が付いてくる可能性が高いのです。
また、問題集を選ぶ場合も同様です。自分が使っている問題集がレベルに合っているかどうかわからないまま取り組んでいても、効果が期待できないのはご理解いただけるでしょう。効果的に問題集を使う方法などを教えてくれる塾もあるため、判断に自信がなければ自分だけで受験勉強をせずに塾の力を借りたほうが賢明です。
わからない問題をすぐに質問できない
塾なしで高校受験対策をしていて質問が発生しても、すぐに対応してもらえないのがデメリットです。学校に行けば先生が対応してくれる可能性はあるものの、普段の授業などで忙しくしている先生に質問をしにくいというパターンもあるかもしれません。
塾に通って入れば、このようなデメリットはほぼ感じることはないでしょう。もちろん、塾の講師も授業準備などがあるためいつでも対応可能というわけではありませんが、学校の先生よりは柔軟性をもって対応してくれるはずです。
モチベーション維持が難しい
一人で塾なしで高校受験の勉強をしていると、志望校など同じ目標、環境を持った同級生がいません。そうなれば結局、頑張る理由がひとつ減ることになり、人によっては大きなモチベーション低下を招きます。
また、塾の教師の存在もモチベーション維持には欠かせません。励ましてくれたり叱ってくれたりする存在がいない中で受験勉強をしなければならないため、モチベーション維持が難しくなるでしょう。全員に当てはまるわけではありませんが、モチベーションが維持できないと継続して受験勉強できなくなる人も少なくないため要注意です。
一人では無理と感じた時には遅い可能性がある
塾なしで高校受験に挑もうとする姿勢は素晴らしいですが、反面、一人では目標に到達できないと感じたタイミングによっては手遅れの場合もあります。先に紹介した勉強方法にも通じるところがありますが、ふと「このままではまずい」と思ったタイミングが受験の半年を切った状態では、仮に塾に通い始めても間に合わない可能性があるためです。
手遅れにしないためには塾の有無を早い段階で決め、塾なしで挑戦すると決めたら懸命に勉強をすることです。自分一人では無理かもしれないという判断は、ひとつの基準ですが、遅くても夏休み前までには下すようにしてください。
塾なしで高校受験対策をするときに気を付けるポイント
いろいろ考えた結果、塾なしで高校受験に挑戦すると決めた人は、次のポイントに気を付けてください。
- 問題集を買いすぎない
- 勉強スケジュールを細かく立てる
- 模試を積極的に受けて弱点を把握する
- 過去問をたくさん解く
塾の力を借りないと決めた以上、勉強で使う問題集もスケジュールも、すべて自分で決めなければなりません。しかし、それを決めずに塾なし高校受験に挑んで失敗する人も残念ながらいます。そうならないためにも、前述4つの注意点を意識して失敗しないようにしましょう。
問題集を買いすぎない
「多くの問題を解いたほうが良い」という理由で問題集を大量購入する人がいますが、これはあまりお勧めしません。確かにたくさんの問題を解いたほうが訓練にはなりますが、高校受験で大事なことは基本の問題が確実に解けるようになることです。たくさんの問題を解くことと、基礎を身に着けるために問題を解くことは同じではない点に注意しましょう。
お勧めは、1冊の問題集に直接書き込んでしまうのではなく、ノートに解いて繰り返し完璧になるまで解くことです。ノートであれば問題集は汚れないため、何度でも繰り返し使用できます。間違った問題には付箋を貼るなどしてわかるようにし、2回目・3回目で解けるようにしましょう。問題集1冊を全て完璧にしたら、新しい問題集に挑戦するのもありです。
勉強スケジュールを細かく立てる
勉強のスケジュールを細かく立てて、それを実行するようにしましょう。勉強時間はもちろんのこと、この日は何の科目のどの単元を勉強するといった詳細まで決定することで、効率よく高校受験の勉強を進められます。
ただ漠然と「数学」「社会」と決めても悪くはないのですが、同じ単元ばかり解いていたり、苦手な単元ばかり繰り返したりしていては入試当日に痛い目を見る可能性もあります。勉強する単元まで細かく設定し、受験までの時間を無駄なく活用できるようにしてください。
模試を積極的に受けて弱点を把握する
各県には、群馬県「群馬県統一テスト」、栃木県「下野模試」、埼玉県「北辰テスト」など代表的な模試があります。定期的に開催される模試を活用して、自分の弱点を確認しましょう。このような各県の入試問題に近い出題傾向を持った模試を積極的に受験して、現在の弱点や今までの学習の成果を測るようにしてください。
もちろん、模試を受けずに勉強に専念するのもひとつの方法ですが、それでは志望校にあとどの程度学力(偏差値)が足りないのか、勉強した成果が出ているのかが判断できません。受験料はかかってしまいますが、模試を受けた後のスケジュールの再考などにも有効であるため、積極的に受験することをおすすめします。
過去問題をたくさん解く
過去の入試問題をたくさん解いて、受験本番に慣れておくのも忘れないようにしましょう。入試の過去問は一般の問題集ではなく、過去問だけを掲載している問題集を購入して勉強するのがベストです。
問題に慣れておくことで、受験当日にどのような問題が出るのかなどを事前に把握できます。また、受験そのもののレベルも体感で判断できるため、過去問については過去5年分を最低でも手を付けておくといいかもしれません。こちらも一般の問題集と同様、完璧になるまで繰り返し解くのがベストですが、難しい場合は基礎問題だけでもマスターできるようにしましょう。
塾なしで高校受験に挑まないほうが良い人の特徴
ここまでのまとめとして、塾なしで高校受験に臨まないほうが良い人の特徴を3つにまとめてみました。
- 勉強習慣が身についていない人
- 志望校と自分のレベルが離れている人
- 自分一人ではモチベーション維持ができない人
これらの特徴を持つ人は、自力で高校受験に挑戦しても上手くいかずに終わってしまう可能性があります。必ず上手くいかないというわけではありませんが、できるなら塾に通い、ある程度の強制力とノウハウ、仲間や塾の教師の力を借りて高校受験に挑むべきでしょう。
高校受験だけで人生が決まるわけではありませんが、高校受験はその後の進路選択の幅を決めるという意味ではそれに近しい意味を持つ大事なものです。費用や自由度だけを追い求めることなく、プロの力を借りて高校受験で成果を出すことを検討してみてください。
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