暗記や計算、グラフの読み取りなどが複合的に絡んでいる理科は、勉強法がわからないと頭を抱える人が多い科目のひとつです。原理なども理解しなければならないのが理科を難しく感じさせる原因となっていますが、きちんと勉強法を身に着ければ対策できる科目です。
今回は、理科を苦手に感じてしまう理由と正しい勉強法を解説します。
理科が苦手になってしまう原因4選
理科が苦手科目になってしまう原因としてよく挙げられるのが、次の4つです。
- 計算で苦戦する
- 現象や事象を理解できない
- 覚えることを暗記しきれない
- 苦手分野とされる単元でつまずいてしまう
それぞれ具体的に見ていきましょう。
計算で苦戦する
理科に苦手意識を抱くもっとも多い理由として挙げられるのが計算の存在です。理科では主に物理・化学の領域で計算しなければならない問題が出題されることが多く、公式を理解しきれていないために苦手意識を持ってしまうようです。
公式を覚えることはもちろん、公式で用いる数値などの拾い方も覚えるようにしなければなりません。比較的暗記で対応しやすい生物や地学にも計算は求められるため、公式やその理屈をマスターする必要があるでしょう。理科を勉強する以上、計算は切っても切り離せない存在であることを忘れてはいけません。
現象や事象を理解できない
理科で出てくる用語や法則は、何かしらの現象・事象に付けられていることが多くあります。言葉だけは覚えられるものの、詳細な現象・事象の説明はできないという人も少なくありません。
例えば、雨が降る原理や化学反応の流れなどが挙げられます。すべての単元で現象や事象がつきものであるため、計算と同じく理科を勉強する上では欠かせない存在です。また、他の科目と同じく記述問題が増加しており、単語だけ覚えても意味を説明できなければ解けない問題が増えています。なぜこのような現象・事象が起きるのかをしっかりと把握し、説明できるまで理解する必要があります。
覚えることを暗記しきれない
理科の中でも比較的暗記で対応しやすい生物・地学ですが、しっかりと用語を覚えなければ点数につなげられません。星座の名前や人体の臓器の名称など、覚えることを暗記しきれていない場合はこの部分の復習から始めましょう。
記述問題の数も増えているのは事実ですが、記述の対策だけしても意味がありません。記述問題で満点を取るには、意味も理解しておく必要があります。また、用語を覚えきれないと、記述だけではなく用語だけを解答する問題も解答できずに終わってしまう可能性があるのです。
覚えられない原因としては、漢字やカタカナが多い点、複数の用語が複雑に関係しあっている点が挙げられます。それぞれの用語と関係のある言葉を関連付けて、一緒に覚えるようにする工夫が必要です。また、理科の場合は実験結果などをビジュアルで問われる場合もあります。実験の様子や結果の写真やイラストが教科書に載っているのであれば、それらも併せて覚えるようにしましょう。
苦手分野とされる単元でつまずいてしまう
理科には多くの人が共通して苦手意識を持つ分野が存在しています。人によって異なりますが、具体的には次のような単元が苦手分野と言われています。
同じ学年で学ぶ分野と比較してもややこしい内容が多いのが、上記に挙げた分野の特徴です。全学年で共通しているのが、物理と化学です。この2つは計算が複雑なだけでなく、化学式の書き方などの特定のルールを覚えなければならないというポイントもあるため、苦手意識を抱いてしまう可能性があると考えられます。
この他にも、出てくる用語の名前が似ている、原理や仕組みが複雑で覚えにくいなどが主な原因と言われています。これらをしっかり識別して理解する必要があるでしょう。
【分野別】理科の正しい勉強法
理科を勉強する際には、知識を得ることも大事ですが、なぜそうなるかを考えるなどの探求心が求められます。また、分野によっては公式を丸暗記するのではなく、なぜその公式になるのかの理由まで覚える必要があるでしょう。分野ごとに正しい勉強法を見ていきましょう。
「生物」の勉強法
生物は、植物をスタートとして動物、細胞分裂、遺伝の法則を覚える流れが一般的です。理科の中でも比較的暗記で解答できる内容が多いものの、メンデルの法則などの法則を理解しなければなりません。また、覚える単語数も多いため、効率的に暗記できるような工夫が必要です。
特に細胞分裂の法則や遺伝の法則における遺伝子の遺伝方法など、計算ではないもののややこしいものがいくつか存在しています。暗記だけでは解けない問題が出題されることも多いため、ワークの繰り返しや問題集で類題を解くなどの対策をしてパターンを覚えるようにしてください。
具体的には復習ノートを作成し、手書きで図や法則の図解を書き写すようにしましょう。文字と同じく絵や図解を手書きすることで、記憶にも定着しやすくなります。復習するときにも役立つため、復習ノートは必須と言っても過言ではありません。
「化学」の勉強法
物質・気体・水溶液の濃度や物質の状態変化から始まり、化学反応や化学式、イオンや酸・アルカリなどを学ぶ化学は、実験を伴うことからその実験のやり方も一緒に覚える必要があります。単語とその意味はもちろんのこと、実験方法や使用する器具の名称もこたえられるようにしましょう。
教科書などに実験の様子を描いたイラストや写真が掲載されているはずなので、それをコピーしてノートに貼り付けたり、手書きで書き写したりするといいかもしれません。状態変化や化学反応式も、ただ文字で書くだけではなくビジュアルで覚えるようにすると効果的です。自分が暗記しやすい勉強法を見出して取り組むようにしましょう。
また、化学は計算問題も出題されるほか、特殊な計算をする化学式もあります。生物とは異なり化学は全学年の積み上げ式となっているため、中1の段階から勉強習慣を身に着けておかなければなりません。もしつまずいてしまっている場合は前の学年の単元に戻ったり、教科書を参考にして復習したりするようにしてください。
「物理」の勉強法
物理のポイントは原理の理解です。光・音・力のほか、電気や運動とエネルギーという単元では、法則や公式を暗記するだけでは理解が不十分になりがちです。なぜそうなるのかの原理をしっかりと理解することで、公式が持つ意味や単位が持つ意味を理解できるようになるでしょう。
こちらも化学と同様、ビジュアルで覚えるようにすると良いかもしれません。例えばエネルギーの場合、支点・力点・作用点がどこにあって、どのようにエネルギーに関係しているのかを可視化したほうが覚えやすくなります。化学と比較すると手書きで実験の様子を模写しやすいため、ぜひノートに書き写したり図を書いてみたりする習慣をつけてください。
また、復習にしっかりと取り組むほか、演習問題にも積極的に挑戦することをおすすめします。演習問題をこなすことで応用力が身に着くほか、より多くの問題を解答できるようになり、得点につながっていくことでしょう。
「地学」の勉強法
地学の効率的な勉強法は、用語の暗記だけではなく公式や法則を理解することです。用語が多い地学は暗記で対処できると思われがちですが、計算や法則も出題されます。そのため、計算が苦手な人や論理的に物事を理解するのが不得意な人は、地学を苦手にしている傾向が高いようです。
地学の計算問題は類題を解くことで対策が可能です。前提として公式を覚える必要はあるものの、地震の計算や天体との距離などは公式を覚えていれば計算で使用する数字を探して計算できます。どの数字を使えば答えにたどり着けるのかを理解するためにも、類題を解いて答え合わせの解説を読み込むことが重要です。
また、用語を暗記するのは当然必須ですが、その用語の持つ意味や必要な公式・法則を理解して問題を解くようにしましょう。物理と同じように問題演習を通じて間違った問題をチェックし、ひとつずつ理解を深めるのがおすすめです。
理科の点数や偏差値をアップさせる効率的な勉強法
各分野に効率的な勉強法があることを紹介してきましたが、分野ごとに共通していることもあります。特に定期テストや入試などの時間をかけて勉強する場合は、これから紹介する3つの方法を実践してみると良いでしょう。
それぞれ詳しく解説します。
まとめノートと復習ノートを作る
理科に限った話ではありませんが、まとめノートと復習ノートを作るようにしましょう。まとめノートは授業を受けたその日に聞いたことなどをまとめるノート、復習ノートは勉強で既存の内容を勉強することです。
まとめノートでは先生が授業で解説した内容をまとめるため、授業を受けたその日か翌日にまとめる必要があります。復習ノートは授業以外でも学んだことを1冊のノートにまとめます。いずれも図解を書いたり、関係性をまとめたりする必要がありますが、記憶力を定着させるためにも必要なことです。
尚、理科ではビジュアル的に覚えたほうが効率的なものも多く存在します。ついつい単語などに目が行きがちですが、理科で重要なのは図やグラフです。ほかの科目よりも図・グラフが多く出題される理科は、ただ眺めて終わるだけではなかなか点数に結び付きません。ノートを作る際に教科書の挿絵やグラフを書き写し、その中に詳細を書き足すなどの工夫をしましょう。
教科書の音読をする
主に定期テスト対策の場合、教科書を音読することで理解力を深めることができます。内容確認とつまずいている個所を明確にするためにも教科書を読み込まなければなりません。教科書を音読していると、なんとなく言いにくかったり、読んでも意味が分からない箇所が出てきたりします。このような場所が「理解できていない」場所にあたることが多いため、そのあたりを重点的に復習しましょう。
理科の勉強に音読のイメージがない人もいるかもしれませんが、理科にかかわらず音読は有効な勉強方法です。日ごろの勉強法に音読を取り込んで、日常的に取り組むと良いかもしれません。
ワークや問題集を完璧にする
定期テストに対しては教科書準拠のワークを、入試には入試対策の問題集を完璧に仕上げると良いでしょう。特に教科書準拠ワークの中には難しい演習問題も含まれていますが、市販の問題集と比較するとちょうどいい難易度に仕上がっています。定期テスト対策には非常に有効であるため、テスト範囲を完璧に仕上げるようにしてください。
入試の場合は、入試対策の問題集を1冊完璧にすることが重要です。レベルは様々ですが、いわゆる赤本のような問題集であれば、1冊完璧に仕上げると良いでしょう。複数のテキストに手を出す必要はありませんが、少なくとも1冊のワーク・問題集を完璧に仕上げるようにしてください。
特に計算問題については、類題が出題されることが多いため、ぜひ教科書準拠のワークは仕上げておきたいところです。数字だけを入れ替えてテスト問題が作成されていることもあり、解き方を覚えておけば簡単に解答することができます。あとは時間内に計算しきれるかの問題だけであるため、類題を解いて計算速度の向上も目指しましょう。
記述問題や計算問題を積極的に解く
理科にも記述問題が出題されることが多く、貴重な得点源となります。ただし、記述問題は比較的難易度が高く、原理や理屈をしっかりと理解できていなければ解答できない場合が殆どです。学んだことを活かすためにも、積極的に記述問題に挑戦しましょう。
記述問題と同じ程度に比重を置いておきたいのが計算問題です。少しややこしい公式の使用を求められたり、複数の公式を使わなければ解けなかったりする可能性もあります。公式も覚えただけでは意味がないため、積極的に問題に挑戦することをおすすめします。
【目的別】理科の効率的な勉強法
ひと口に理科の勉強といっても、目的によってやるべきことが異なります。例えば定期テストと入試では求められる範囲や難易度も異なってくるため、同じ勉強法で対策しきれない可能性も少なくありません。
最後に、目的別の理科の勉強法を詳しく紹介します。
定期テスト対策
定期テストでは、指定された範囲の教科書の音読とワークの繰り返しを行いましょう。出題範囲が限られているため比較的対策しやすく、やり方によっては満点やそれに近い成果につなげることもできます。日ごろからの積み重ねとテスト前の勉強がカギです。
特に計算や記述問題など、配点が大きな問題の練習は積極的に行いましょう。この2つは苦手意識が強い人が避ける問題であり、得点できれば大きなアドバンテージになります。学校のワークを中心に演習と復習を繰り返し、同じような問題が出されても解答できるようにしておくのがベストです。
受験対策
受験では各都道府県の公立高校入試の問題集を仕上げるなどの対策が必要です。理科は多くが単元ごとに完結しているため復習しやすい科目ですが、唯一化学だけは積み上げ式であるため復習に時間がかかります。つまずいている個所を明確にして、その部分から復習することが重要です。
また、公立・私立問わず、各学校の入試問題の出題傾向を読み解くことも忘れないようにしましょう。年度によって大きく傾向が変わる場合もありますが、基本的に大変革が起きることは少ないため、きちんと傾向を理解して対策しておくのがベストです。
苦手意識の克服
理科に対する苦手意識を克服する目的で勉強する場合、まずは基本的な知識を押さえるようにしましょう。用語を暗記するのはもちろんのこと、公式の理解や器具の名前の暗記も必要となるため、まずは覚えることを優先してください。
もちろん、ただ覚えるだけでは意味がありません。用語や公式を覚えるのと同時に、意味や内容をきちんと理解するように努め、少しでも理科に対する苦手意識を払しょくしていくことが重要です。
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